第17回白梅コンピュータアートコンテスト入賞作品
コンピュータ絵画部門「大賞」・1作品
小春日和
作者:
髙橋南海(発達臨床学科3年)
作者の一言:
今の自分にある画力を全てぶつけました。テーマは「白梅」「大正ロマン」「2月」「非現実」です。少女は何を読んでいるのでしょう。このイラストを見た人それぞれが様々な解釈をしていただければと思います。
審査員の講評
- えんじ色の使い方がよかったと思います。この色は独特のノスタルジーを誘い出すように思います。全体のかわいい系のイメージもグーです。
- 登場人物の着物のデザインは、大正ロマンのイメージをよく表しています。
- 色彩が美しいと見た瞬間に思いました。きれいですね。そして,白梅の卒業式を想起しました。
- 細かい部分まで気をつかって描かれているのが印象的です。日の光、草の色、表情、梅の花、季節感が「非現実」であるのに違和感を感じさせるのが演出でしょうか。
- かなり細かいところまで細密に表現されているだけでなく、コンピューターの利点を駆使した描写がうまく取り入れらている。
色の使い方は鮮やかで、初春の陽気を適確に表現しており、見ていて気分が晴れやかになります。 - まず、作品のクオリティに目を見張ります。色使いや精細さ。本当に素晴らしいです
コンピュータ絵画部門「優秀賞」・2作品
ぼくのせかい
作者:
松澤希望(子ども学科4年)
作者の一言:
―望遠鏡を覗いたその先に、彼の求めるものは見つかるのだろうか― 少年が無我夢中で夢や目標を追いかけている姿を、資料で溢れた部屋で表現しました。
審査員の講評
- 映画や小説のワンシーンのように、少年の背後を読み取るイマジネーションが膨らむ奥行きのある作品だと思います。特に状況描写が秀逸で、少年の手袋、窓に映った横顔、首までボタンをとめているパーカー、積み上げられた本など、様々な連想が呼び起こされ、受け手の感受性が刺激されます。少年の1年後、10年後、50年後の続きが気になる魅力的な作品になっています。
- 自分の中学生時代を思い出させるいい作品です。ややくらい印象がちょっと気になりましたが。
- 登場人物が宇宙に興味関心があることが伝わってきます。
- 宇宙の彼方に想いを馳せる姿は美しいですね。
- 何を見ようとしているのか想像をかきたてる表情が良いと思いました。
- 緻密さと柔らかさの二面性を感じさせられ、特にうっすらと鏡に写っている姿は本体と比して柔らかいタッチで表現しており、少年の内なる情熱を感じることができます。
- 作品の質の高さが伺えます。少年の心情が表情で伝わってきます。主人公が窓(?)に写りこむ表現の細やかさが素晴らしいです。
春一番が待ち遠しい
作者:
濱野優香(子ども学科2年)
作者の一言:
秋を感じる前に冬が来て寒さで凍える毎日の中、早く春が来ないかなと思いながらこの作品を描きました。
季節感が今とはあまりあっていませんが春への待ち遠しい気持ちと春から始まる新しいことへの希望が表せていたらいいなと思います。
審査員の講評
- とてもいいのですが、黄色系だけだったのが、きになりました。色の配色にもう一工夫するとグーです。
- 寒さで凍えそうなイメージが伝わってきます。
- 春を待ちわびる想いと希望を感じました。
- 春を待ちわびる感じの表情と寒さを感じさせる髪の毛の巻いている様子が冬の終わりを連想させます。
- 春一番の強風と春への期待が、焦点深度によって表現されているように感じられます。コンピューターの利点もうまく活用して、温かみのある作品だと思います。
- 秋特有の季節感が色合いや、主人公のしぐさや表情から伝わってきます。表現力が際立つ作品です。
デジタル写真部門「大賞」・1作品
変わらない背中
作者:
松坂はるか(子ども学科1年)
作者の一言:
夏休み、幼なじみと海を目指して山道を進む。小学校の時に鬼ごっこで何度となく追った背中、今でも変わらず。
審査員の講評
- 宮崎駿監督は、こうしたトンネルを見ると、その先に全く別世界をイメージするそうです。
トンネルって、どこかの世界への通路ですよね。その感じがよく出ているいい作品だと思います。 - 色彩、構図、光の描写、どれをとっても優れていますが、技術的な評価を必要としないくらいに物語性を感じます。タイトルも素晴らしく、作者は過去のエピソードから命名していると思いますが、未来につながる物語としても受け取ることができます。
その意味で時間を封じ込めることに成功しているのだと思います。ノスタルジックでありながら、未来や希望を感じることができる素晴らしいワンシーンだと思います。 - ともだち,ふるさとを大切にする作者の思いが伝わってきました。
- トンネルの光と闇がうまく表現されていると思います。闇から光へという単純なテーマではなく、日常性として描いたところが良かったです。
- センスの良さを感じます。コントラストをしっかりと意識しています。雪景色ではなく、緑葉を扱うところに爽やかさを感じさせます。
デジタル写真部門「優秀賞」・2作品
いい写(いい写真)
作者:
野中彩夏(発達臨床学科4年)
作者の一言:
これは私の好きな鎌倉の海に友達と出かけた時に撮った一枚です。ちょうど夕日で空がオレンジ色に輝いていました。私が大好きな夕日の空に夏の海、そしてレトロな雰囲気を出せるフィルムカメラを使用したことにより、味わい深い一枚が撮れました。
審査員の講評
- 夏のイメージと、オレンジの色調がマッチしていて、いい雰囲気です。
- フィルムと露出にこだわり表現されているところが良いです。写りこんでいる人もこのフィルムだからこそ想像をかきたてられます。
- 銀塩カメラを用いて撮影した場合、現像した写真をスキャニングして画像として取り込む方法と直接ネガから取り込む方法のいずれかによって、そのデジタル化された質は大きく変化するものです。
本作品は、仕上がりから前者と思われますが、見事に夕刻の海辺と撮影者の感情とが入り混じった作品に仕上がっていると思います。
初夏
作者:
井出梨香子(発達臨床学科4年)
作者の一言:
友達と鎌倉へ行った時の一枚です。海で裾を捲り、水の掛け合いをしたり、空の瓶に海水を汲んで遊んだり。キラキラした海水と、昼から夜へ移り変わる空が美しく、この風景を忘れないように、シャッターを切りました。
審査員の講評
- 淡い色彩と大胆な構図で、季節や時刻、湿気や、空気の抜け感が伝わってくる優れた作品だと思います。水とか海とか作者の感性が優れていないと、この瞬間はキャッチできないかもしれません。風景や状況描写以上に、感覚や感性に刺激される優れた作品だと思います。
- まさに一瞬をとらえているところが良いです。水の流れに見入ってしまいつつ、動きのない背景との間にギャップを感じることがこの写真の良さだと思います。
- まさにスナップショット!という感想を抱きました。気軽に携帯電話で写真が撮れるようになった今、写真を量産することは銀塩時代に比して極めて平易になりましたが、本作品は、大切な時を記録に残すというかつての写真の大きな意義を想起させられる。
- ボトルからこぼれおちる水(サイダー?)の動きを良くとらえた一枚。色合いも背景の表現の仕方も秀逸。
審査員による全体の講評
- 今回は、表現された場面の内容より、そこからイマジネーションが掻き立てられる奥行きのある作品を選定しました。優れた作品には、技術や内容よりも、受け手が感情移入できる余白がたくさんあります。是非、場面の表象ではなく、その背後にある作者の感性を大切に作品を作って下さい。
- 皆さん、それぞれが、それぞれの感性で、素敵な表現をしています!自分自身の感じたこと、感動したことをもっと信じて、あらたな表現にチャレンジしてください!
- コンピュータ絵画部門のエントリーが少なく残念です。今年の作品から,タイトルも大切だなと改めて感じました。
- 写真部門は、それぞれの撮影者の意図が感じられ、非常に面白い作品が多かった。タイトルを見ないで感じてみると、いくつもの発見があった。
- 爽やかな気持ちになる作品が多く、選出が難しかったです。日常の大切な瞬間や何気なく抱く気持ち等をコンピューター上で表現する気概は、実物の絵画や彫刻等と変わらず伝わってくることがよくわかりました。
- 全体的にクオリティーの高さを感じます。中にはプロレベルの方もいるようです。表現力、描写力、作品のメッセージ性などが伝わるものばかりでいずれも秀作です。悩みました。